2010年8月11日水曜日

『エーゲ海の天使』(原題:Mediterraneo)

1991年に作られたイタリア映画『エーゲ海の天使』を見ました。内容はコメディーですが、鑑賞後には寂しさが残る映画でした。

舞台は第二次世界大戦中のヨーロッパで、イタリア軍の小部隊がギリシャのある島に上陸するところから始まります。彼らの任務などの詳しい事はわかりませんが、とにかく、その島に上陸しなければいけないようです。上陸部隊の船には隊員の親友(恋人?)のロバが乗っていたり、部隊の規律がめちゃくちゃだったりしますが、それがイタリア軍だと言われるだけで、すべて違和感がなくなります。その後も、イタリア軍のヘタレ具合がうまく表現されており、大変面白かったです。最後は浦島太郎的な寂しさが残りました。

この映画を見た後、次のお話を思い出しました。
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漁師が釣りをしていた。その魚はなんとも生きがいい。それを見た旅行者は、「すばらしい魚だね。どれくらいの時間、釣りをしていたの?」と尋ねた。すると漁師は「そんなに長い時間じゃないよ」と答えた。旅行者が「もっと漁をしていたら、もっと魚が獲れたんだろうね。おしいなあ」と言うと、漁師は、自分と自分の家族が食べるにはこれで十分だと言った。「そ れじゃあ、あまった時間でいったい何をするの」と旅行者が聞くと、漁師は、「日が高くなるまでゆっくり寝て、それから漁に出る。戻ってきたら子どもと遊ん で、女房とシエスタして。夜になったら友達と一杯やって、ギターを弾いて、歌をうたって…ああ、これでもう一日終わりだね」

すると旅行者はまじめな顔で漁師に向かってこう言った。「ビジネス・スクールでMBAを取得した人間として、きみにアドバイスしよう。いいかい、きみは毎日、もっと長い時間、漁をするべきだ。それであまった魚は売る。お金が貯まったら大きな漁船を買う。そうすると漁獲高は上がり、儲けも増える。その儲けで漁船を2隻、3隻と増やしていくんだ。やがて大漁船団ができるまでね。そうしたら仲介人に魚を売るのはやめだ。自前の水産品加工工場を建てて、そこに魚を入れる。その頃にはきみはこのちっぽけな村を出て、ロサンゼルス、ニューヨークへと進出していくだろう。きみはマンハッタンのオフィスビルから企業の指揮をとるんだ」

漁師は尋ねた。「そうなるまでにどれくらいかかるのかね」「二〇年、いやおそらく二五年でそこまでいくね」「それからどうなるの」「それから? そのときは本当にすごいことになるよ」と旅行者はにんまりと笑い、「今度は株を売却して、きみは億万長者になるのさ」「それで?」「そうしたら引退して、海岸近くの小さな村に住んで、日が高くなるまでゆっくり寝て、日中は釣りをしたり、子どもと遊んだり、奥さんと昼寝して過ごして、夜になったら友達と一杯やって、ギターを弾いて、歌をうたって過ごすんだ。どうだい。すばらしいだろう」
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